2015年9月19日土曜日

動く!海洋教室 帆船「海王丸」レポート vol.2 (2015/8/29)

いよいよ海洋丸出港

昼食後、いよいよ海王丸が出港するときがきました!午前中では感じられなかった、船のエンジンが稼動する振動などが伝わり、ドキドキが倍増。


 出港するために、船員の方が何やら作業をされているのを発見!出港するために港にくくりつけていた10本のロープを手際よく引きあげる作業をされていました。ほかの船では、ロープを引きあげる作業も機械で巻き上げることが多い。しかし、海王丸は帆船のため、このような作業も手作業で丁寧に行っています。
 待ちに待った海王丸、出港です!!船が港から離れていく一瞬一瞬が新鮮でわくわく。


 海王丸は、全長110メートル・幅13メートルと非常に大きい帆船。そのため、小回りが利かないため、出港・入港時に2隻のタグボートが必要です。タグボートとは、船舶や水上構造物を押し引いたりするために利用する船のこと。数分で2隻のタグボートの力をかり、出発~!初めて海上から見る、オリエンタルホテルやポートタワーがそびえ立つ神戸港。


 数時間前までいた神戸港を海王丸から見る景色は、味わったことのない不思議な感覚でした。潮風が気持ちよく見慣れた景色が新鮮に感じられました。晴れていると海上から明石海峡大橋や淡路島がくっきりと見えるそうです。(今回はあいにくの天気で確認できませんでした(;_:) )

冷凍室でシビれる!


 午後も船内見学させていただきました。大事な食料が保管されている、冷凍室へ。 ここでは、何か月も船の中で生活するため、日数分の食料が鮮度を保ちながら冷凍されています。100名以上の船員の方が乗船されているため、1日に30キロ(約200合)もお米を炊くそうです。また、船員により食べ物の好みがさまざまなため、食事には肉と魚が同時に食卓に並ぶそう。船員一人一人の好み応じた食べ物が明日への活力に繋がっているんですね!
 野菜は、鮮度を保つためマイナス4度の中で保管。実際に中に入ると今の季節のせいか、涼しいくらい。しかし、入って30秒ぐらいすると膝ががくがくと震えるくらいに!私が寒そうにしている姿に、船員の方は「次の場所の方がもっと寒いよ!」と笑われてしまいました。 


 肉と魚が保管されている場所は、なんとマイナス20度の世界!扉を開けるだけで冷気がすっと来るほどの寒さ。入る前から、歯がガチガチと音を立てるのが自分自身でも分かるほどでした。


これぞまさしく「動く海洋教室」


 次は、制御室へ。ここでは、エンジンの後退や前進を操船し、エンジンの状態を監視する所です。「動く!海洋教室」では、実際に参加した子どもたちが船員の方のサポートのもと、エンジンの操船の体験をしました。無線マイクを使って、「ストップ、エンジン」と実際に指示として用いられる言葉を使い、伝える作業をしました。その言葉通り、エンジンが止まったり、稼動するなどの現象が起こりました!このような体験ができるのは、イベント名にもあるように、「動く」ならではだと思いました。

 16時ごろ、イベントの終盤になりました。最後に、参加した子どもたち25名とお世話になった船員の方とともに閉幕式が行われました。代表者の子どもが船長さんから表彰状をいただきました。イベント終了後には、たくましい姿で下船する姿が印象的でした。
 このイベントを通して、子どもたちの将来の道の選択肢の1つに、「船員」があがるといいと思いました。私も一瞬思いましたが、船酔いするので諦めました、残念。

柴原都










動く!海洋教室 帆船「海王丸」レポート vol.1 (2015/8/29)


世界最大級の帆船に乗って航海体験しました!


練習帆船「海王丸」(航海訓練所所属)に実際に乗り、船員がどのような仕事をしているのかを学ぶ「動く!海洋教室」が8月29日(土)に中学生に混ざって参加してきました。
 今回はその様子を二部に分けてお伝えします。

神戸港第一突堤に到着


 神戸駅から港のほうへどんどん歩くこと20分ほど。第一突堤に大きな帆船が!
この大きな帆船が今回乗ることになる海王丸です。想像していた以上に大きく、初めて乗る帆船に私も胸を躍らせながら乗船しました。

ドキドキの海王丸船内へ!


 海王丸とは、航海練習船です。船乗りになるために18歳~20代前半の若者たちが訓練しています。一度航海に出ると数か月も陸に上がることができないと聞き、驚きでいっぱいでした。まずは、安全教育。救命胴衣の着用方法を学びました。
 実習生が実際に使用している部屋などを実際に乗組員さんに案内してもらいました。まず、船内の部屋ごとの仕切りが高いことに驚きました。普通に歩いているとこけてしまうほどに仕切りが高いのは、船内に水が入ってきてしまったとき少しでも広範囲に及ばないようにするためだそうです。また船内の階段はとても急で、必ず手すりを持って移動すること、船内を移動するときは必ずヘルメットを着用するなど普段地上で生活している上ではあまり気にしないことでも、船の中では怪我につながりかねないということがわかりました。みんなも慎重に船内を歩いている姿がとても印象的でした。


これななんだ?

たくさんの白いものが積まれています。そうこれは「帆」です。36枚×2セットの帆がここにあります。帆の生地はとても分厚いため、全て手縫いで作られているそうです。

バウスプリットの先端へ!

 船内見学が終わったあとは、バウスプリットの先端に!バウスプリットとは、帆船の船首から前方へ伸びている棒のことです。今回はこのバウスプリットに登ることができる貴重な機会がありました。
乗組員さんの説明を聞くなか、中学生のみんなの顔にどこか不安げな表情が。無理もありません。傾斜が約30度あり、下を見たらそこには海が。命綱こそつけていましたが、緊張感漂う空気のなか訓練がはじまりました。
ところがいざ訓練開始となると、みんなカニさん歩きでスイスイと先端まで行っていました。
「思った以上に揺れて足元がふらついて怖かった、下がすぐ海なのも落ちそうでドキドキした」と、話してくれました。なかなか体験できない貴重な機会に中学生のみんなも嬉しそう。


協力して帆を張ろう!


 続いてみんなで協力し帆(セイル)を張ります。ロープを力いっぱい引っ張り、しっかりと帆を張ります。お兄さんの掛け声で皆が一斉にロープを引っ張りながら走り出しました!


風が強いときなどは、帆を張るのがとても大変だと、お兄さんが教えてくれました。
バウスプリットに登り帆を張った後は、すっかり中学生のみんなも私も船乗りになった気分でした。(Vol.2に続きます)

取材:中谷桃子

















2015年9月12日土曜日

神戸街中探訪シリーズ  その1「JAZZBARグッドマン」(2015/9/4)

神戸街中探訪シリーズ

JAZZBARグッドマン

〒650-0012  神戸市中央区北長狭通1丁目9

今まではイベントなどの“非日常”への訪問がほとんどだったのです…が、
もっと色んな視点から神戸の街を発信しよう!ということで、街に飛び出して!“日常”の神戸を紹介していこうと思います!


 その一回目としてご紹介するのは、JAZZBARグッドマン!三宮駅の近く生田通り沿いの東急ハンズのすぐ近く、飲食ビルが林立する一角に立つコーストフロムビル。その5階にある。1976年から約40年続く老舗。 


生田通りを三ノ宮駅方面から北に。カラオケ店や居酒屋が軒を連ねるビル街に看板が見える。




神戸JAZZの歴史!
 では、どんなお店なのか、という前に、少し神戸のJAZZの歴史を学びましょう!

 神戸は、わが国最初のジャズバンド「井田一郎とラッフィング・スターズ」が誕生。大正12年(1923年)4月にプロのジャズバンドによりジャズが最初に演奏されました。それが神戸が「日本のジャズ発祥の地」といわれる所以です。
 その後、昭和30年から関西学院大や甲南大を中心に、ジャズ愛好家達によるアマチュアバンドが多く結成され、昭和56年には「インターナショナル・ジャズ・フェスティバル」が開催されました。そして、その翌年「神戸ジャズストリート」がスタート。ニューオリンズジャズのパレードを皮切りに、教会や学校施設など街中の建物でいろんなバンドによる演奏が行われ、鑑賞者はおめあてのバンドめがけてあちこちに移動するというイベントの運営方法は当時画期的。以降、全国各地で行われるようになったジャズ・イベントのモデルにもなりました。こういうイベントが成立するのはやっぱり神戸ならでは。ジャズを愛し親しむ神戸の人たちに支えられ、現在も、「JAPAN STUDENT JAZZ FESTIVAL」「神戸ジャズ物語」などの様々なライブやコンサート、ストリートライブが行われ、多くの人でにぎわいます。




お店に突入だ!

重々しい扉を開けると、生田通りの喧騒とは打って変わって、夕暮れのごとく落ち着きを持った照明のなか、ずらりと棚に並んだウイスキーの数々、真空管のアンプから響くJAZZのサウンド。20人近くはいるだろうか、グランドピアノが中心に置かれ、その前のカウンターテーブルが特等席。ゆったりお酒と共に談笑を楽しむ。お客さんたちの年齢層は若干高めのおじさまたちが中心。赤みがかった薄暗い照明、おちついた内装、そして流れる音楽はスタンダードナンバーが中心のジャズ。
 花金の今日は週に一回、JAZZの生演奏が聴ける日。今日の出演者は、アルトサックスの浅井良将さん、ピアノの志水愛さん、ウッドベースの時安吉宏さんというドラムスなしのトリオ。浅井さんはジャズ・サイト「Jazz Page」のインターネット投票で2012年サックス部門で一位を獲得されている。そして志水さんはこの若さにしてハードバップスタイルのピアノをゴリゴリ弾くつわもの。そして時安さんとくれば、時には珍奇な語りで場を沸かせながらも、いつも絶妙のビート を繰り出してフロントの演奏をサポートするベーシスト。このトリオならみんな聞きくるはず。いつしかお店は満員に。
 演奏はスタンダードナンバーが中心。ある時代に流行った流行歌が時代を経ても歌い継がれ、いつしか世代を超えて愛される曲になる、それがスタンダードナンバーのこと。
「音楽はメロディーとハーモニー、そしてリズムで構成されている。ジャズはそのメロディーだけを取っ払って、そこに即興でメロディーを乗せていく。同じコード進行と小節数という約束事を守りながら、即興でいかに自分ならではの演奏が展開できるか。それをハラハラドキドキしながら聞き入るのがジャズ。だから、ジャズはライブで楽しむのがベスト」と桑島先生は熱く語る。
 1ステージにつき4曲ぐらいだっただろうか、途中休憩をはさんで3ステージ。いつしか神戸の夜は更けていくのでありました。


Interview:「大好きなJAZZを仕事に」

グッドマン オーナー 高島秀実さん


 学生時代から音楽が大好き。ブラスバンド部でサックスやクラリネットをしていたという高島さん。もともはサラリーマンとして働いていたが、もっと自分の好きな方向で仕事をしたいと考えた。その結果、大好きなJAZZをお酒と共に楽しめるお店を、という思いでこのお店を始めたそうです。
 店内に置かれている2000枚以上のレコードは全て高島さんの私物。働き始めた頃からじっくりと集め、宝物と言っていいものだそうです。今も新しいJAZZのCDが出れば買いに行っているそうです。
「このお店そのものが人生といっていいと思います。敷居が高い店というイメージを持たれがちですが、もっと学生さんにも来てほしい。お酒でもソフトドリンクでも、飲み物1杯で気軽に良いJAZZが聴ける。そんな空間の提供をこれからも続けていきたいですね」


心までJAZZに浸れる空間

初めて神戸でJAZZのお店に入ったのですが、思っている以上に落ち着いた空間で、音楽を生で感じる楽しみを改めて知りました!やっぱり音へのこだわりがある空間にいると、音楽の強さを感じますね。バイト代とかで懐が豊かな日とか、いちど聞きに来てみるのも悪くないカモ。

演奏された曲はこんなのです!(すべてではありません) 

「ローラ」
1944年公開の映画「Laura」のためにデビッド・ラクシンが作曲した。この曲は映画共々大好評となり、テーマはすぐさまストリングス・オーケストラで演奏されるムード音楽の人気曲となった。

「アンソロポロジー」
1940年代にモダンジャズの巨匠、ディジー・ガレスピーとチャーリー・パーカーが作曲したとされているピ・パップの名曲で、セッションでもしばしば取り上げられる。アンソロポロジーとは人類学のこと。

「ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンドウ」
アリー・ルベルによって1937年に作曲されたポピュラーソング。ビリー・ホリデー、エラ・フィッツジェラルドなど有名な女性ジャズヴォーカリストが唄っている。

「スウィート・アンド・ラブリー」
ガス・アーンハイムによって1931年に作曲された。モダンジャズの異彩ピアニスト、セロニアス・モンクの演奏が有名。

2015年9月1日火曜日

神戸港夏物語2015(8/22)レポート

神戸港夏物語2015”KOBE Music&Gourmet Port” 
〜神戸港開港150年にむけて〜
場所:中央提・かもめりあ 



空を雲覆うなか会場に到着!

8月下旬にもなると太陽の当たるところは暑いものの、すこし涼しさが

「神戸港夏物語2015”KOBE Music&Gourmet Port”」は今年4回目を迎え、会場には、プロ・アマ問わないミュージシャン31グループのステージと、飲食ブースには9つのお店が立ち並ぶ。会場には
若者たちや家族連れなどさまざまな人たちが訪れていた。

神戸の震災復興写真展示
改めて復興前と比較してみると、当時の惨状をまったく感じさせないほど復興を遂げたことに感慨無量。



Interview①:「ポートタワーの周りにもっと賑わいを作りたい」

西口毅さん(KOBE MUSIC & GOURMET PORT実行委員会)  


 一番おすすめしたいのは、震災復興写真のコーナーですね。あのころから神戸がどれほど復興したのかが、一目瞭然ですし、震災を忘れないという気持ちにもさせてくれます。「まなぶ船」や2日目に行う船のスタンプラリーも見逃せません。子どもたちに、実際に船に乗ってもらって、船がどういうものなのか知ってもらう。このような体験を通じて神戸はみなとの町であるということを実感してもらえればと思います。モザイクのあたりに比べて、東側にある中央提やポートタワーあたりは賑わっているとは言えません。そこでこのようなイベントを通じて、遊覧船やポートタワーとともに賑わうようになればと思っています。今後、このイベントではさまざまな国の料理の屋台などを誘致して、多くの人に来てもらい神戸港ならではのイベントにしたい、と考えています。



Interview②:「よさこいを通して地球を笑顔の星に」

小城有佳さん(颯爽JAPAN 代表)
真ん中の青いシャツの方が小城さん

 イベントでのステージに出演されていた団体にもインタビュー!

 基本的に衣服や音楽はオリジナル。神戸が拠点の団体なので、新しさやオシャレさを重視して、ベートーベンの曲から作曲したりして、勢いのある踊りを表現し、みなさんといっしょに踊れることを重視しています。“踊り”に国境はありません。どの国のどんな場所でも、鳴子を渡せば皆が1つになって踊りだします。わたしたちは踊りを通してもっと世界を笑顔にしたい。みんなが呼吸を合わせて踊り、会場の方々とも踊り、共に笑顔になれる。そうして、最後には“地球を笑顔の星にする”ことが最大の目標です。


明るくておしゃれな曲とパワフルな踊り。会場も一体となって笑顔で踊っていました。



(颯爽JAPAN)
 1999年3月に箕面市で設立された“チームKinKi颯爽!” として活動を開始し、2005年3月に“特定非営利活動法人(NPO法人) 颯爽JAPAN”となった。 “踊り”を通じて国境や人種を超えた笑顔の創造を目指し、KOBE ALIVEというイベントの企画・開催や、トルコ、イタリア、アメリカ、タイといった海外でのよさこいの公演を行っている。2015年8月12日に高知県で行われた「2015よさこい全国大会」では兵庫県代表として出場された。


来て、見て、聞いて、踊って...そしてみんな腹ペコ。


ブログを見ているア・ナ・タに代わって、屋台を巡って舌づつみ


炭火焼ステーキドック
炭火で焼いた国産牛肉を塩コショウで味付けし、パンにたっぷり挟んで甘口ソースをかけた贅沢な一品。
肉がとても柔らかく、塩コショウとソースが絶妙にマッチし、口の中が溶けてしまいそう。


浜うどん
ダシのきいたうどんに、キツネ、肉、ワカメ、ネギ、かまぼこ、と多くの具材。うどんのコシも良く、食べ応えのある一品。


ハートビール 
キリンが麦芽とホップと水だけで作り上げた純国産ビール。ヘルズブッカーというアロマホップを使っている。
よけいな苦みやしつこさが全くなく、さわやかな味わい。 


フルーツワイン(赤)
赤ワインの中にフルーツが多く入った一品。
マンゴー、イチゴ、ブルーベリーといった果実がゴロゴロと入っており、フルーティな味わいでのどスッキリ!


お餅
 今回のイベント初日の目玉、真夏の餅つき大会にも参加! 子どもや大人入り乱れて、「よいしょ!」の掛け声が港に響き渡る。

木の杵と石臼が使われており、生まれて初めて木の杵を持ったのですが、思っているよりも重くてビックリ!みなさん手慣れた様子でしていたので、何とか食らいつくので精一杯でした(笑)
 今回食べたのはきなこ餅。きなこの味が、つきたての柔らかな餅の中にしっかりと浸透、すごく柔らかくかつ弾力もあり、美味!


轟く和太鼓

神戸開港500年残日計除幕式でも演奏されていた和太鼓奏者木村優一さん率いる和太鼓の演奏でフィニッシュ。


神戸の強さ

このイベントに参加させていただき、イベント会場を取材させていただくと、改めて神戸が震災からいかに復興したのかというのが強く見えてきました。立ち並ぶ街並みも、船の出入りする港も、皆あのころからは考えられないほど、強くたくましく、より鮮やかに蘇っています。神戸という町の強さを改めて実感する素晴らしい機会になったように思います。


取材:西村成也